「いつか、ウィンブルドンの芝のコートに立ってプレーする」
その想いを特別強く胸に刻んで、日々テニスボールを追いかける選手がいる。

目指すウィンブルドンのコート
その名は、緒方葉台子。プロテニスプレイヤーとなって間もなく2年目を迎える。
本人の強い意志はもちろんのこと、周囲の環境からの後押しが、彼女に対して世界に挑むプロテニスの世界で生きていくことを決断させた。
それは、彼女の祖父が始めた芝生のテニスクラブで生まれ育ったという環境に、すでに運命付けられていたものだったのかもしれない。
勝利を積み重ねるべく、一球一球に集中
■テニスとの出会い
ごく身近にテニスが存在する環境ではありながら、彼女がテニスに本格的に向き合うようになったのは、それほど早い時期だったわけではない。幼いころ遊びで参加した、キッズテニスのイベントが楽しかったことは覚えている。
テニスだけでなく他の習い事も続ける中で、小学校高学年の時に「本気になれる何か一本に絞ろう」と考え、身体を動かすことが好きな自分が一番向いていると考えたテニスを選択することにした。彼女は初めて、しかしここから少しずつ本格的にテニスと向き合うようになる。
彼女の父親がテニスをやっていたこともあって、いつしか自然とその背中を追いかけるようになっていったとも言えるだろう。とはいえ父親自身も、自分の子どもに指導するというのは「客観的に見ることはできない」と考え、彼女への指導とは距離を置き、親という立場で見守ってくれる存在であった。
少しずつテニスと本格的に向き合うようになったと言っても、彼女にとってテニスをすることはまずは「楽しい」という気持ちで、それ以上でもそれ以下でもなかった。
■プロへの自覚
そんな彼女にとって、テニスに対する気持ちが劇的なまでに変化する出会いがあった。
中学に入学した頃の、そのクラブでの米国系コーチとの出会いである。それまでの彼女のテニスに対する気持ちと、ある意味で漠然としていた練習への取り組みが、一変することになる。
「テニスの楽しさだけではない、厳しさも教えてもらった」と彼女は語る。
また、コーチに過酷なテニストーナメントの仕組みやITF(国際テニス連盟)の存在を教えてもらうにつれて、テニスを「楽しいだけではやっていけないんだな、と」思うようにもなった。
時期としてもちょうど中学校に入ったころで、彼女自身が思春期を迎えコーチとぶつかって反発することも多かった。
「私自身、その時はまだまだ甘くて“テニスをするときだけ、テニスのことを考えておけばいいでしょ”と思っていました」
しかしコーチからは、
「とにかく、テニスのことを考え続けなさい!私生活の延長戦上にテニスもある!」と、口酸っぱく言われていたことを昨日のように思い出す。
ただ、今振り返るとその時の言葉があったからこそ、そして厳しい言葉をかけ続けてくれたからこそ今がある。真剣にそう思うようになった。
それらの言葉だけではない。実際の指導でも、コーチが一対一の特訓を組み、ひたすらテニスの基礎を叩き込んでくれた。
なによりも試合になると国内の遠征や海外の遠征までついて来てくれ、テニスのテクニックの知識だけでなく溢れるほどのテニスへの情熱、そして具体的な戦い方を伝授してくれたのである。
さらには、なによりもこのコーチからの指導が、いやがうえでも前にそびえたつ世界の壁の高さと、今の実力という現実を彼女に突きつけてくれた。
そのような中、徐々に国内外の遠征も次第に増えて、特に国外での試合を重ねるたびに、海外の選手からも大きな刺激を受けることになっていった。少しずつ本格的にテニスと向き合い出した環境の中で、コーチと海外選手の存在が、高くそびえる壁ながらも彼女に「本気で挑戦したい」と思わせる勇気と希望をくれたのだ。
いつしか彼女の「プロになる」という漠と抱いていた夢は現実的な目標へと変わり、切磋琢磨する中で、次第に「なるのが当然」と考えるようになるほど、挑戦心に火がついていた。

ひとつひとつのプレーにも力が入る
■変わるための苦悩、そして光
自分自身を追い込むため、練習環境も変えた。高校2年の時から実家のクラブを離れて神戸のテニスクラブに拠点を移し、一人暮らしを始める。より厳しい状況に身を置くことで自らを鍛えようと考えたのだ。
ただ、プロへの道を「当然」と自分が考えられるようになったからと言って、簡単に勝利が見えてくるほど甘い世界ではない。勝てない日々が続き、納得できない試合内容で終わることも数多くあった。
「やめようと思ったことは、正直、何度もあります。遠征に出るのも簡単ではないし、それで大敗した日には、“わたし、何をやってるんだろう”って」
「プレー中も、相手を見すぎて自分の軸を見失っていたことがありました」
「自分のしたいテニスと、今自分がやっていることがズレてるような気がして、自分のプレースタイルって何だろうと、モヤモヤする時期が続きました」
そんなときは親や姉に電話で八つ当たりをしてしまっていた。今思えば、ただの甘えだった。
しかしある時、親から「あなたが、テニスが好きだからやっているんでしょう。私たちがあなたにやりなさいと言ったことはない。やめたいならいつでもやめていい」と言われ、目が覚めた。いかに自分が好きなことをやれる、させてもらえる環境にいるのか。その部分に気づいたからこそ、試行錯誤を続けながら今改めて彼女自身が、心の底から真剣にテニスと向き合っているのである。
モヤモヤとして霧の中にいる、そんな彼女の苦しい状況を、変えてくれた一つのきっかけもあった。
「根本的な考え方を変えてくれた、あるコーチの助言がありました」
このコーチからの言葉はとことんシンプルだ。だからこそ、苦しむ彼女の心に正面から訴えるものがあった。
“今、自分が持っているものを生かせばいい。もっとシンプルに考えて、自分の理想を追っていい“
この言葉を受けて、彼女は語る。
「それらの言葉が本当に自分の中に分かりやすくスッと入ってきて、負けても、しっかり前に向かっているということが分かる。今やっていることを自分のものにできれば、必ず道は開けると思えるようになりました」
「今は、自分を信じることができます」
精神的な成長を自ら感じ、ようやく長いトンネルを抜け出した。彼女には一筋の光が見えはじめている。
だからこそ「今からが本当の勝負です」と語るその目は、なかば届かない夢として語っていたウィンブルドンのコートに立つ夢を、現実の目標としてしっかりと見据える目に変わっている。
「最後まであきらめない」プレースタイルが信条だ
■目標のその先に
しかし、道のりは決して短くはないし、平坦でもない。プロとして大会に出て少しずつ上位の結果を残し始めているとは言え、彼女は現在、世界ランキングでまだ1,000番前後。ポイントを獲得し順位を一つでもあげていくために、海外の多くの大会に遠征して試合に出場し、勝利をあげ続ける必要がある。
彼女の直近の目標は、まずこの2年間で下部サーキット(※)を卒業することである。
(※)ITFサーキット…世界の女子テニスツアーは、WTA(Woman’s tennis association)という組織によって厳格に管理・運営されており、明確なピラミッド構造の中で、様々なテニストーナメントシリーズが組まれている。いきなり上位の大会に出場することはできず、ポイントをあげていくことで初めて上のランクの大会に出場することが可能となる。ITFサーキットは、ピラミッドの中位~下位にあたる大会群の呼称。
そのために、2017年も海外や国内合わせて複数の大会に出場して勝利し、ランキングを100、200と上位に押しあげて一つでも上のステージで戦うつもりだ。
「夢を夢で終らせず、目標として達成する」
いきなり大きなことはできない。まずは目の前の試合、目の前の一球に全力を尽くす。

目指すコートでのプレーに、イメージを重ね合わせる
「ウィンブルドンの芝の上でプレーする」自分の気持ちの中でそう定めたからこそ、今改めてテニスに全身全霊を傾け、打ち込み一歩一歩進む覚悟でいる。そして同時に支えてくれた周囲への恩返しのために、結果を出すことを最優先にしていく決意でいる。
彼女を支える、厳しくも温かく見守ってくれる大切な家族の存在。そして、なによりも応援してくださる周囲の方々。
少しでも自分の成長やトレーニングにつながればということで読み始めた本や、取り組んでいる座禅を通じて、「人とのつながり」や「巡り合わせ」そして「有り難さ」を最近ますます感じるという。
「周囲の、本当に多くの(いろいろな)人を巻き込んでいる」という自覚があるからこそ、「結果で」恩返ししたいという強い想い。
そして、自分の信条としているアグレッシブなテニスのプレースタイルを見せることで「最後までファイトする、あきらめない姿勢」をぜひ感じ取ってもらいたいという熱い想い。
これらの想いとともに、「未来へ、一歩ずつ進んでいる」という本人の確信があるからこそ、時として夢のような話も現実的な目標に変わっていくのだ。
この、大きな夢を目標に変え、世界へ挑戦を続ける若きプロテニスプレイヤー緒方葉台子をぜひ、応援してください!
※ぜひ、緒方葉台子公式サイトもご覧ください
http://www.haineogata.com/
■支援金の使途について
<<いただいた支援金は、試合への遠征費や日々の練習のための活動費とさせていただきます>>
テニスプレイヤーの年間の活動費は、簡単な試算でも600万円を下りません。十分なトレーニング環境を得ようとすると、1,000万円をかるく超えてしまいます。
皆さまからの貴重な支援金は、遠征時や日々の練習等の活動費に使わせていただき、海外等での大会への出場、そして勝利につなげて良い報告がお届けできるように頑張ります!温かいご支援をお待ちしております!

何事にもどんどんチャレンジ!自らの目標へ突き進む
■支援コース
支援コースは、以下の設定となっています。皆さまからのご支援をお待ちしております。
1,000円/月
3,000円/月
5,000円/月
10,000円/月
30,000円/月
50,000円/月
100,000円/月