勝つことだけでなく、育てること、送りだすことも大事な役割だ。再起を期す、常勝球団香川オリーブガイナーズ

広尾晃

高卒新人にチャンスを与えつつペナントレースを戦った

香川オリーブガイナーズ 前期公式戦

 
四国アイランドリーグplusの、香川オリーブガイナーズは2017年前期シーズンを13勝18敗3引き分け、勝率.419、首位徳島インディゴソックスから8.5ゲーム差の3位に終わった。
西田真二監督は、PL学園では夏の甲子園の優勝投手、法政大を経て広島では外野手として活躍。2007年以来、香川オリーブガイナーズの指揮を執っている。
11シーズン目。2、3年で交代することが多い独立リーグの監督の中で、西田監督は異例の長期政権。NPBでもここまで長く監督を続けるのは極めて珍しい。
 
前期シーズンを振り返ってもらった。
 
―前期シーズンは、3位に終わりましたが?
 
「2015年までは前後期どっちか優勝していましたから、優勝から遠ざかっているように見えますが、
その中でチームにはいろんなことがありました。
今シーズンは藤原龍海(投手)、直野和弘(捕手)、妹尾克哉(内野手)、松村翔磨(外野手)と高卒の新人を多めに取りました。そのこともあって、育てるために我慢したという部分はありましたね。
高卒選手はNPBなら3~5年かけて育成します。独立リーグはそこまで時間はかけませんが、それでも1~2年かけて育てます。そういう時期ではあったと思います」
 
―高知には3勝7敗と大きく負け越しました。
 
「苦手意識はなかったのですが、高知は外国人がよかった。マニー・ラミレスが来て、アンダーソンも来た。ザックもよく打ったし、捕手のハンソングも安定感がありました。
高知が4月に突っ走った。それに対して、うちは期待していたガルシアが早々に投げられなくなって計算が狂いました。
それと3月にオープン戦が少なくて5試合くらいしかできなかった。それが影響したかもしれません。
高卒だけでなく、1年目の選手が多かったので、優勝を狙える戦いができなかったとは言えるでしょう。修正する力、精神力、対応力で及ばなかったと思います。
先発投手は、原田宥希秀伍、髙原暢裕が頑張ってくれたが、中継ぎ、抑えが弱かった。救援投手をやりくりする中で失点することが多かったですね。
また、エラーがらみの失点も多かったですね。エラーや与四球を減らすことは独立リーグでもNPBでも野球の永遠のテーマですが、序盤に点を取られて攻撃陣も追いつくことができないパターンが多かったと思います」

 

香川オリーブガイナーズ 西田真二監督

 

だんだん、選手獲得競争も厳しくなりつつある

 
―編成面では、西田監督が陣頭指揮を執って毎年よい選手を獲得してきましたが?
 
「四国の他球団も意識が変わってきて、高知や徳島もいい補強をしました。積極的にスカウトをするようになりました。またBCリーグも球団数が増えて、人材確保が難しくなりました。
かつては、香川には練習生がたくさんいて、後期へ向けて入れ替えをすることができました。今季は好成績を残していた野手の八木亮哉、沢坂弘樹が途中で退団しましたが、層が薄くてとってかわる選手がなかなかいませんでした。
外国人選手を獲得する話もあったのですが、このメンバーでやってみようということになりました。
昔の又吉克樹(現中日)、ネイラー(元中日)のようなインパクトプレーヤーがいなかったですね」
 
―チームが若返った分、期待もできるのではないですか?
 
「確かに、19歳、20歳は今から伸びていく財産でもあるので期待しています。
そもそも、独立リーグは大学みたいなものです。力のある若い成長して巣立っていく。そして次の世代につないでいく。そういうガイナーズの伝統を大事にしたいですね。
選手と一緒になって悩んだり苦しんだり それがチームの財産にもなっています」
 
―後期へ向けて、どのような準備をしますか?
 
「独立リーグは、地域密着型です。練習もしますが、環境に適応して地域貢献なども頑張ってほしいです。これも修行です。
フューチャーズとの交流戦に出る選手はいいとして、他の選手はこの期間に試合経験を積ませることも大事ですね」
 

ドラフトへ向けて楽しみな選手もいる

 
―11月のドラフトへ向けて、これは、と思う選手はいますか?
 
「投手では、原田宥希秀伍、野手では内野手の妹尾克哉は足が速いですね。それに捕手の三好一生が伸びれば面白いと思います。
四国アイランドリーグplusで力のある選手はどういう形であれ去っていきます。
リーグ戦もそうですが、そういう選手をうまく送り出してやるのも私の役割だと思っています」

 

香川オリーブガイナーズの本拠地、香川県高松市 レクザムスタジアム

 

今年就任した、異色の女性球団社長「総合優勝を狙いたい」

 
香川オリーブガイナーズは、昨年、経営者が交替し、香川県内の老舗企業が経営を引き継いだ。
経営基盤はさらに安定した。
新しいオーナーが、最初に手を打ったのは、新社長の選定だった。
今年3月、香川オリーブガイナーズの球団社長に三野環氏が就任した。独立リーグとはいえ、プロ野球チームの社長に女性が就くのは極めて珍しい。就任から3ヶ月経った6月に、前期を戦い終えての率直な感想を聞いた。
 
――社長に就任されて3ヶ月が経ちました。
 
「最初は右も左もわからない状態でした。”こういうことをしよう”としても困難があってできない、みたいなことを繰り返し、スタッフに教えてもらいながらの3ヶ月でした。ようやく課題点も長所も見えてきたところです」
 
――観客動員はいかがでしたか?
 
「昨年前期の動員数との比較としては、ほぼ横ばいでした。ただ、昨年最多動員を記録した読売巨人軍(3軍)との交流戦が、今年は(前期ではなく)後期にあるので、満足ではありませんが悪い結果ではないと思っています。読売巨人軍(3軍)との交流戦が行われる後期を含めた通期では、動員増の見通しです。グッズの売り上げに関しては、昨年前期よりも10%程度増えています。
 前期はやはりマニー・ラミレス選手参戦の効果があったように思います。高知戦はお客様の入りが良かったですね。マニー選手が出ない試合もあったのですが、出ることを期待して来られるお客様も多かったようです」
 
――チームは最終的に3位でした。
 
「野球そのものに関しては、球団代表をはじめ、西田監督、コーチに一任していますが、去年より下回る結果は避けたかったですね。チームは急に強くはならないでしょうから、一つ一つやっていくしかないですね。
それは、誰よりも選手、監督が分かっていることですし、皆それぞれに目標を持って日々トレーニングに励んでいますから、私はそれをバックアップするために環境を整えることを考えていくだけです」

 

香川オリーブガイナーズ 三野環球団社長

 

「新しい風を吹き込みたい」と請われて社長に就任

 
――以前はどういう仕事に就いておられたのですか?
 
「元は生命保険の営業職でした。香川オリーブガイナーズは、昨年オーナーが変わったのですが、新オーナーから“社長をやらないか”と声を掛けていただいたんです。すごくびっくりしました。オーナーから”野球界には女性オーナーはいるが女性社長はいない。新しい風を吹き込みたい”と言われました。
 保険の営業は個人事業主でしたから、マネジメントや経営の経験も多くはない。球団社長は何をするかという認識もありませんでした。だから、昨年10月半ばにオファーをいただいた時は、一度お断りをしたんです。でも、熱心にお声を掛けてくださったこともあり、野球の素人だからこそ、枠に囚われず出来ることもあるのでは、と考え方も変っていき、お引き受けすることにしました」
 

ファンの存在に感動、選手は子供のようにかわいい

 
「就任したばかりなので、現場を知りたいし、野球のノウハウも勉強したいと思っています。今の自分に何ができるかなと考えて、球場の入り口でファンの皆さんにごあいさつをしたり、清掃をしたり、グッズ販売も担当しています。じっくり試合を見る機会はありませんでしたが、来季に向けては試合やグラウンド内のことも学びたいです。
 感動したのは、ファンの方が毎試合来てくださって、お手伝いしてくださること。7回表終了時にジェット風船を飛ばした後は、ファンの皆さんが拾ってくださいますし、ファウルボールの警告の笛もファンが率先して吹いてくださいます。球団をすごく大事にしてくださるファンがいらっしゃることに感動しています。
 まだ私は直接チームや選手にかかわることは多くありませんが、個性が一人一人違いますし、みんなが子供のようにかわいいです。みんなの頑張りをもっと多くの人に見てほしいと思いますね」
 
――経営面で気を付けていることは?
 
「球団の経営指標には、観客動員数、チケット収入、選手の強化など様々な要因がありますが、全体的なバランスが大事だと思います。編成会議にも出席していますので、今後は監督、コーチと深い話をしていきたいと考えています。
 香川オリーブガイナーズは11年連続でNPBに選手を送り出しているので、すごくプレッシャーを感じます。今年もドラフトで指名されるようバックアップしていきたいと思います。 
 スポンサーへの営業には、前職の経験が役立っています。既存のスポンサーにご挨拶したり、新規を開拓したり、そちらは得意な業務ですので、まずは財政面を整えるためにも新規開拓を広げていきたいですね」
――ご家族はどのように仰有っていますか?
「夫と高校生の娘がいます。夫は当初から私がすることを支え、応援してくれています。娘はボランティアスタッフとして手伝ってくれます。学校の先生が『今日、お母さんテレビに出てたよ』と教えてくれるそうです。家族の支えも張り合いになります。
 去年の最多入場者数は約1,700人でした。後期はこれを上回って2,000人の動員を目指します。チームとしてはもちろん、後期優勝、総合優勝を狙いたいですね」
 

観客を出迎える三野社長

 
チームは後期開幕戦、ソフトバンクホークス3軍との連戦に、2連勝と順調に滑り出した。
後期も高知にはマニーが契約を延長して参戦することが決まっている。
ライバルは依然として手ごわいが、香川オリーブガイナーズは、「常勝球団復活」のために、満を持してスタートしている。
 

 

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スポチュニティコラム編集部より:
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