『ザスパクサツ群馬レディース』には無限の可能性!

ザスパクサツ群馬アカデミー

ご存知だろうか。
2017年度から、『ザスパクサツ群馬U-15レディース』
カテゴリーの名称が

 『ザスパクサツ群馬レディース』

に変わる。ん、何が違うの? と思った方も多いのではないだろうか。
誤植ではない。「U-15」が外れたのだ。これの意味するところは!?

ザスパクサツ群馬レディースの選手たち

◆ 日本女子サッカーの現状


意味を深く理解する上で、まずは女子サッカーの現状を紹介したい。
なでしこジャパンが2010年にワールドカップで
初優勝を飾ったことは皆さんの記憶にはまだ新しいのではなだろうか。
大会MVPであった澤 穂希選手も今では現役引退、結婚、出産と
人生をシフトしながら今を楽しんでいる。
現在のなでしこジャパンの実力は今でもFIFAランキング世界(女子) の
トップ10に入っており、世界基準で戦っている。

しかしだ。未来のなでしこジャパン入りを目指す中学、高校の
U-18世代女子のサッカー環境は世界に遅れをとっているのが現状である。
ランキング上位であるアメリカやヨーロッパでは当たり前のように
グラウンドは天然芝。そしてプロ契約なのだ。

日本ではトップチームでさえもプロ契約選手は少ない。
ほとんどのメンバーがスーパーのレジ係や整体院の受付、
カラオケ店の店員、フットサルコートの運営といったアルバイトをしたり、
家族の援助を受けながらサッカーをしているのだ。
そしてグラウンド環境は男子サッカーの空き時間に利用するという、
常に2番目なのが日本の現状だ。
試合会場もほとんどが芝ではなく土で、キーパーですら硬い土の上での練習だ。

こんな環境下で怪我をも恐れず必死の練習

そんな厳しい環境にもかかわらず、なでしこジャパンが世界ランキングの
トップ10に入るのは日本人の勤勉さが生み出した結果ではないだろうか。
 

ザスパクサツ群馬アカデミーの環境、苦労、可能性


では、ザスパクサツ群馬アカデミーの環境はどうだろうか。
群馬県のサッカー事情、ここでは特に女子サッカーの活動に限った事情を把握しておこう。
県下には前橋育英高等学校、桐生第一高等学校、など
男子校豪チームが女子サッカーチームの育成も行う。
更には、高崎健康福祉大学高崎高等学校、群馬県立太田女子高等学校、
市立太田女子高校などが盛んに活動を行っている。
おおよそ20チームがしのぎを削り、切磋琢磨しているのだ。

試合前の円陣は男子さながらの気迫


ザスパクサツ群馬アカデミーでは、これまで女子チームは
U-15カテゴリーしか存在していなかった。
それまでのカテゴリーでは、小学生はU-12カテゴリーで
男子選手に混じってサッカーを続けてきた。
中学に入ってアカデミーで女子チームとなり、
卒業すれば今度は別の進路を探し、
県内でサッカーを続ける場合は上述した高校に入学するか、
通学などの条件が合わなければ、別の競技へと転身する。

ザスパクサツ群馬アカデミーはこの環境整備の第一歩を踏み出しつつあるのだが、
群馬という地域ではライバルが少ない。
切磋琢磨する同年代の強豪チームが少ないのだ。

群馬県女子サッカーリーグ1部リーグで戦うレディースチーム

だからザスパクサツ群馬アカデミーは県外にでてトレーニングマッチを行っている。
そうやって強化するしかないからだ。だが、悪いことばかりではない。
群馬県内の男子サッカーチームとトレーニングマッチを行うようになり、
スピード、パワー、準備、予測がよくなったのは事実だからだ。
女子選手の中には
「男子との試合はキツイ。体力、スピード、球際はどうしても勝つことが難しい」
と、言う選手がいる。

しかし、だからこそ準備と予測がよくなってきているのではないだろうか。
体力、スピード、パワーで勝てない相手にどうやったら勝てるのか。
自らが考えて、行動を起こせる選手こそが一流たるゆえんだろう。

試合が終わればやっぱり女子中高生の一面も
 
まだまだ環境が整っていない現状がここにはある。
そして選手たちもやはり先の見えないクラブでは不安ではあるようだ。
この先の人生を考える岐路にザスパクサツ群馬アカデミーも加わりたい
と思っているのは監督、コーチ含め、ザスパクサツ群馬アカデミー
スタッフ全員が思うところのようだった。

もちろん試合の準備から片付けまで自分たちで行うのがアカデミーだ

現在アカデミーに在籍している選手に心情を聞いてみた。
「ザスパは続けないが、高校サッカーを卒業したらまたザスパクサツ群馬に戻りたい
もっと早くこの体制ができるとわかっていたら良かった。」
というのは、中学からザスパクサツ群馬アカデミーに通う本間弥来選手(15)だ。
本間選手は高校サッカーへの道を選択し、
「高校での目標は1年生からレギュラーを取ること。
そして今よりもレベルアップして、ザスパに戻ってみんなとサッカーがしたい。」
と語っている。
 
一方で、
「ちょうどチームを探していた、県外では続けられなかったので良かった。
高校卒業後は県内でできるのは嬉しい。」
と素直に喜んでいるのは石川蒼惟選手(15)だ。
石川選手は、県内でサッカーができる環境を模索していた最中だった。

本間選手と深沢選手


アカデミーに所属している選手たちは、
サッカーが好きということはもちろんだが、
同じぐらいザスパクサツ群馬アカデミーが大好きだ!
ということが表情から伝わってくる。
 
どんなところが、いいのだろうか。
「全学年で行う、アカデミーキャンプがあるところ」
「監督が好きなので戻ってきたい。」
「ザスパはコーチとの距離感が近くて、なんでも相談ができる雰囲気がある。」
など口々に出てくる。
 
まだ、あどけない笑顔を向ける選手の中には
「下から毎年10名ぐらいが入団してくるので、その子達に負けないように
一つ一つの練習を考えながらやっている。」
と答えた選手がいた。
先を考えながら、しっかりした娘だなと思う。
 
さらに自己成長のためにもアカデミーには
「海外遠征がしたい、県外にも行って経験を積みたい。
 アメリカ、韓国、チェルシーなどに行ってみたい。」
と、今後に期待している姿もうかがい見える。
自らが考える子たちが増えてくると、
なでしこの未来も明るいのではと思えてくる。

<今春卒業の3年生 石川選手と吉原選手>

<中学2年生トリオ 佐藤選手、鈴木選手、木村選手>

では、彼女たちを預かる立場のアカデミーの監督にも話を聞いた。
「ザスパクサツ群馬 U-15レディースがザスパクサツ群馬レディースになっても
 この年代でやることは決まっている。
 将来的につなげていける選手を育てることに変わりはない。
 子供たちに上を目指す欲が出るのではないかとは思って、私自身も期待している。」

 

ザスパクサツ群馬アカデミーの魅力

最後にザスパクサツ群馬アカデミーの魅力とは何かを聞いてみた。
「選手たちが戻ってくる場所にしたいと思っている。
アカデミーキャンプは全員参加で一緒にいる時間が長い。
キャンプのトレーニングだけを見たら相当つらいことをやっている。
それをみんなが楽しいといってくれているのは、
それぞれがコミュニケーションをしっかり取れているからだろう。
それはこちらの狙いでもあり、嬉しいことである。
だからこそ、ここで過ごした事を忘れずに、
いつでも戻ってこられるような場所にしていきたいと思っている。」


<ザスパクサツ群馬レディース 白井 貞義監督>

◆ 環境の整備が選手、女子サッカーの発展に繋がる

インタビューを通じて感じたのは、
地方のクラブこそ環境に飢えているのではないだろうか。
アカデミークラスで上を目指す集団になると
レディースカテゴリーでは強化が難しい。
だからこそ、国際交流や県外遠征などでライバルたちと
切磋琢磨できる環境を提供していきたいのだろう。
ザスパクサツ群馬レディースは関東で中位、
まだまだ全国レベルではない。
トップチーム(なでしこリーグ)に参入すれば
ザスパクサツ群馬アカデミー選手の意識が変わり
日本を代表する選手になりうるのだろう。
群馬という温泉地から、なでしこジャパンの候補生が出てくるのが楽しみだ。
ゆかりあるみんなでぜひ応援してもらいたい。

特定非営利活動法人ザスパスポーツクラブ
理事長 倉尾正典