フェミニズム発祥の地で!W杯女子サッカー2019フランス

Spportunityコラム編集部

2019年6/7(金)〜7/7(日)までFIFA女子ワールドカップ、フランス大会が開催され、出場24カ国のチームで争われる。歴史的な市民主義社会の先駆者であるフランスだが「最も選手の年俸が高い女性プロサッカーリーグ」がある事も世界的に注目されていて、今回の話題の一つだ。1991年に第一回が開催されてから28年。世界的に「女性の社会進出、地位向上/是正」が訴えられる中、女子サッカーは年々そのレベルと注目度/人気/存在感が世界的に向上して来ている。
 
欧米や南米において「サッカーとその応援を包括する社会性」には自主・自発・知性的な市民運動的な機能と実績が歴史的にある。それでは日本の“なでしこリーグ”と日本社会での女性の立場と意識はどうだろうか?
8大会目のW杯フランス開催は色々な意味で注目、考察すべき話題がありそうだ。

モンマルトルの丘から、フランス革命・フェミニズムの始まりともなったパリ中心部を望む。中央左は焼失したノートルダム大聖堂。

市民運動とフェミニズムの聖地で開催の意義と意味を考える

この季節のパリといえば「フランス7月革命」が勃発した時期だ。支配者の圧政に対し、市民が結束して蜂起し、自由と権利を獲得したのだ。その歴史的なイメージ絵画『民衆を導く自由の女神=マリアンヌ』を思い出す人も少なくないのではないだろうか。

 

 

今後の女子サッカーを占う世界大会

急速に発展・進化を実現した米国や欧州の各女子サッカーの“プロ”リーグ。日本の「なでしこリーグ」も2023年のFIFA女子ワールドカップの日本招致に向けて「プロ化構想」の噂が流れている。しかし「なでしこリーグ」が単純なスポーツ/興行コンテンツとしてや、スポンサー/協会主導のトップダウン型のリーグ体質ではなく、自主的に社会や地域/女性の活躍を奮起・活性化させる起爆剤として、より日本の女子サッカーへの「注目の仕方や理解」がボトムアップ型で高まる事も望まれている。そのためにはクラブに、フロントに、監督やコーチに、選手一人一人に、スタッフに、それだけでなく、日本社会全体にその「自主的な気運」がなくてはならない。そもそも、サッカーという競技自体に基本的なその気質があるはずだ。
W杯を控えた今年5月末、女子サッカー米国代表主将ミーガン・ラピノー選手はFIFAに対して、女子W杯の待遇の改善を求める声明を発している。

女子ブラジル代表が表した、女性らしさと遊び心

W杯開幕を目前に、続々と各国代表が欧州入りし、調整試合や取材が行なわれている。今年の「リオのカルナヴァル」でもフェミニズム運動がそのトップリーグ複数のチームのパレードテーマに掲げられたことが世界的に話題となった。そんなブラジルの代表チームのフォトセッションが話題となっている。それは女子ブラジル代表選手たちが集合写真で初めて、女性らしさを表すために脚を組んで写真を撮ったのだ。 

▼話題の写真を掲載した【CBF】=ブラジルサッカー連盟公式ツイート

1枚目はふつうに脚を揃えて、しかし2枚目は女性らしく脚を組んで。これは男性と同じ考え方、やり方ではなく、女性らしい社会での活躍の仕方、働き方、生き方、アイディ
ア、そして女性としてのサッカーのあり方に対して一石を投じるウィットのある写真となると話題になっているのだ。他国、日本の女子チームも真似てみるのはどうだろうか? 日本代表がやるとすぐに叩かれてしまいそうだが・・・と、日本社会を考え、話し合うきっかけともなりそうだ。


▼【CBF TV】=ブラジルサッカー連盟公式番組。
 

W杯ドイツ大会優勝など、なでしこJAPAN黄金時代を率いた頃の佐々木則夫監督、エース澤穂稀選手と、同応援イベントでMCをする筆者。今大会は選手出身の高倉麻子監督(史上女性初)が率い、10代の選手を起用するなど平均年齢23.96歳のかつてなく若いチームで日本復権に挑む。一方、なでしこリーグで3年連続得点王に輝いた絶対的エース田中美南選手を代表から外した事をはじめ、国際Aマッチ経験が10試合未満の選手を8名起用した思い切りの良さが吉とでるか、凶と出るか、今後のなでしこJAPANを占う大会でもある。
 

澤穂稀選手を越えた、W杯7大会連続出場者

 


そのブラジル代表で注目の選手の1人はミッドフィルダーの「フォルミーガ」(Formiga)選手だ。フランスの名門クラブチーム、パリ・サンジェルマンに所属している。現在41歳の彼女は1995年に17歳でブラジル代表入り。今回は澤穂稀選手を抜き史上初、7度目のW杯出場となる。ジミー・クリフやマイケル・ジャクソンのミュージック・ヴィデオの舞台にもなった、サルヴァドール・ダ・バイーアの出身だ。
 

1978年に生れ、同地でそれらヴィデオが撮影された頃に早くも女子ブラジル代表としてのキャリアをスタートさせたのだ。「黒人のローマ」の異名で世界的に知られる同地はアフリカから連れて来られた人々が奴隷売買された歴史的な土地柄(ユネスコ世界遺産)。その境遇から生まれたブラジルの武術/舞踊=「カポエイラ」の聖地としても世界的に有名だ。実際フォルミーガ選手はサッカーを12歳で始める前はカポエイラに取組んでいたそうだ。ブラジルには「ジンガ」という独特のバランス感覚、哲学があるが、まさに「カポエイラ仕込みの彼女のジンガ」の披露がフランス大会のフィールドでも期待されている。

無冠の女王、最後の大会となるか?

続いて注目の選手がやはりブラジル代表のMarta:マルタ選手(33歳)だ。6度のFIFA世界最優秀選手(バロンドール)に輝き、最多得点記録を誇り「女性版ペレ」と呼ばれる、ブラジル代表背番号10のエースだ。2000年に若干14歳でリオの名門クラブチームC.R.Vasco da Gamaでシニア(プロ)キャリアをスタート。現在は米国リーグのオーランド・プライドで活躍している女子サッカー史上に残る名選手だ。しかしブラジル代表としてのタイトルには恵まれず、年齢的にも今回が最後のW杯になるかもしれない。
 
▼オリンピック・チャンネルによる、ブラジル代表マルタ選手の最新特集

F.C.バルセロナで背番号10番、アンドレッサ・アウヴェス選手
上記のフォルミーガやマルタなどレジェンド擁するブラジル代表だが、次世代もグングン成長している。中でも代表で7番を付けるアンドレッサ・アウヴェスは今大会のブラジル代表の要となる選手だ。「女性版ネイマール」の異名でも呼ばれている。1992年生れの26歳は今大会が旬だ。

・・・女性として、1人のアスリートとして、妻として、母として、副職を持ちながら、10代の若手として、40代のベテランとして・・・地球上各地の様々な境遇で生れ育った女性戦士たちが、4年に1度の人生と将来をかけた真剣勝負を繰り広げる。今回ご紹介したのは氷山の極一角。
 
闘志あふれる勇者たちの姿は世界中の人々を魅了し、多くのドラマと感動を届けてくれるだろう!

 

ライターのご紹介

KTa☆brasil(ケイタブラジル)
https://keita-brasil.themedia.jp/
東京うまれ、神奈川育ち。Newsweek誌が「世界が尊敬する日本人100」に、UNIQLO初の世界同時展開広告「FROM TOKYO TO THE WORLD」に選出。パリコレ〜F1GP〜W杯〜本場リオのカルナヴァルまで、世界各地で活躍するミュージシャン、DJ、サッカー関係者、打楽器指導者。ブラジル代表ユニフォームのマークでおなじみの“CBF”=ブラジルサッカー連盟による公式番組“CBF TV”が、“外国人でありながら“80年代前半以来、ブラジルの歴代サッカー選手やクラブチーム、サッカー界と長く深く関わる人生”を番組特集した(現在唯一の日本人)。今年も南米リベルタドーレス杯番組や、CBFブラジル杯公式プロジェクトに招集されている。ブラジルとのご縁は幼少より約35年。10代より両国を往復し続ける活動は2018年で22年目。ブラジル政府各省/リオ市観光局事業公式実績者。サンバ応援の本場:リオの名門クラブチームC.R.Vasco da Gamaの名物応援団サンバ打楽器隊員を経て、スタヂアム殿堂刻名の現上級会員。同クラブの様々な公式プロジェクトに招集され、東日本大震災発生時には南米で一番早く企画・実行された救援プロジェクトの一員でもある。 日本でもTV/FM/新聞/雑誌/WEBなどのメディアではサッカーや音楽を中心にブラジルや欧米ラテン諸国のプレゼンターとして活躍。TBSスーパーサッカー、スポナビ、NIKE FOOTBALL、SONY FOOTBALL、JTB、excite公式ブログ・・・様々な現場とメディアでレポーター、MC、コラム寄稿を歴任。Jリーグ、Fリーグの選手や関係者との関わりも深い。リオ五輪では日本政府のパビリオンJAPAN HOUSEでの音楽イベントを11本プロデユース。命名した共著書「リオデジャネイロという生き方」(双葉社)他、寄稿も数多い。